SSD搭載のLet's note Premium Edition ?

先日、愛用していたLet's note CF-Y2のHDDが破損して、HDDを交換修理に出そうサポートに電話したら、検査で1万、交換になると5〜6万と言われて、その値段だったら自分で交換するか、安いノートPC買えるよと思った。

前々からASUSUMPCであるEeePCには興味があった。SSDにOSがインストールされているため、LinuxWindowsXPの起動時間が早いのはいい。屋外でEMobileを使ってネットとメール、MS Officeのデータが閲覧できれば十分だ。価格も5万円前後と低価格設定である。しかし、現行商品は4GBしか容量がないのでWindows XPをインストールして、SP2 or SP3を適用すると、残容量がほとんど無くなってしまう。(SDHCやUSBメディアにソフトをインストールして利用するのが一般的らしい)
http://eeepc.asus.com/jp/product.htm

SSDに惹かれつつも使い慣れたLet's noteに未練があり、調べているとパナソニックがモバイルパソコンのネット直販限定モデルとして、32GBのSSD(フラッシュメモリドライブ)を搭載したLet's noteを販売している。ドライブアクセスが高速なのだが、価格が30万円と高額。
http://club.panasonic.co.jp/mall/mylets/open/premium/highperformance.html

悩んだ末、壊れたCF-Y2のHDDをSSDと換装することに決め日本橋へ。BEST DO!で目当てのSamsung MCAQE32G5APP-0XA (IDE-32GB)を発見。1'sとBEST DO!以外はSSDの在庫を置いていない様だった。(店員に確認して回ったので間違いないと思う。)値段は下記参照
http://kakaku.com/item/05370210003/


Samsung MCAQE32G5APP-0XA (IDE-32GB)


古い世代のLet's ntoeは特殊な2.5インチIDE HDD(41pin:3.3V, 42pin:5V)が必要で、市販のHDD(41・42pin共に5V)と換装するときには、HDD側の41pin(Logic 5V)を折るか絶縁する必要がある。42pin(Mortor)とは内部的につながっているHDDと、そうでないHDDで処理が異なる。44pin(N/A or Ground)はアースか存在しないのでコネクタ側に穴が存在しない場合に関して折る。CF-Y2では必要なかった。金属疲労によるねじ切りで根本から切断し断面を小さく切ったセロテープで絶縁。これで、M/Bから41pinに3.3Vが流れず内部で42pinから5V供給される。今回は成功事例の情報があったので41pinを折っただけであるが、ドライブのメーカーによっては41pinと42pinをハンダ付け等でショートさせないと、Motor側からLogic側へ電力が供給されない場合もあるのでテスタを用いたプレ計測を行う方が確実。SSDの場合そもそも42pin(Motor 5V)は意味を成さないので、他メーカーの41pin(Logic 5V)を加工する際は注意。下記URIデータシート参照。
http://www.samsung.com/global/business/semiconductor/products/flash/ssd/pdf/25_standard_data_sheet.pdf


41pin加工後のSamsung MCAQE32G5APP-0XA
41pinを折りセロテープで絶縁してある

Let's note テンプレが参考になった。
http://letsnote.xrea.jp/

この部分はLet's note テンプレ HDD換装の引用 http://letsnote.xrea.jp/#content_1_15

型式MK4025GASL, MK4020GLS, MK2020GLP
上記HDDはLogicが3.3V、Motorが5Vで駆動する特殊仕様品。CF-R1〜R4G世代まで該当
これに対応してマザーボードからLogic(41pin)とMotor(42pin)に異なる電源を供給
一方、換装用HDDはLogic(41pin)とMotor(42pin)が内部で直結しており、そのまま繋ぐとマザーボードが破損する。よって下記いずれかの対策を取る
換装用HDDの41ピンを根元から折り取る(コネクタ側が塞がってる場合は44ピンも折る)
※ピン「曲げ」は避けるべし。勘合不足により抜け易くなる他、ピンがケースに接触すると破損の恐れがある
換装用HDDの41ピンにセロテープ等を巻きつけて絶縁する
マザーボード上のチップを付け替えてLogicに5V供給 →詳細
起動後数分して電源が落ちる場合、対策不良なので再度見直す
取り外した特殊仕様HDDは3.3V/5V両対応なので市販の2.5"HDDケースに収めて再利用可能
型式MK6034GSX, MK8037GSX
Serial-ATA仕様品。CF-R6/R7/T7/W7/Y7が該当
換装用HDDはSerial-ATAタイプを選択。特別な対策を取らずにそのまま換装できる
上記以外の型式(MK6034GAX、MHV2120AH、MK1031GAS、MK8025GAS、MK6025GASなど)
Logic/Motor5V駆動の汎用品。CF-R4H世代以降とマイレッツHDDカスタマイズ機種が該当
マザーボードから5Vが供給されるので特別な対策を取らずにそのまま換装できる
BigDrive(137GB超)対応状況
CF-R2A頃からBigDrive対応。ただしOSはWin2k-sp3 / XP-sp1以降が必要
CF-R1N,T1RはBigDrive非対応。137GBまで認識し、それ以降に存在するパーティションは認識せずブートも不可(Part107-477、Part131-336)
速度・静音性・発熱・実績の点からお勧めの市販2.5"HDD
東芝 MK1234GAX(120GB-5400rpm)、MK1032GAX(100GB-5400rpm)、MK8032GAX(80GB-5400rpm)、MK6034GAX(60GB-5400rpm)
日立 HTS541616J9AT00(160GB-5400rpm)、HTS541212H9AT00(120GB-5400rpm)、HTS541010G9AT00(100GB-5400rpm)
高価だが静粛・軽量・低発熱性に優れるSSDのお勧め
Samsung MCAQE32G5APP-0XA (IDE-32GB) / MCBQE32G5MPP-0VA (SATA-32GB) / MCBQE64GBMPP-03A (SATA-64GB)
mtron製はLet'snoteとの相性が悪く認識不能
Transcend製のMLCタイプ(型式末尾-M)は超低速のため回避推奨

Let's noteシリーズのなかではY系は最大のA4サイズなのだが、それでも慎重に分解しないとパーツ破損の可能性がある。特にディスプレイと本体を支えるヒンジ部と、キーボードを剥がす際にプラスティックの外装を割らないように注意されたい。

ネジの本数が33本にもなるので、デジカメと紙に筐体の絵をスケッチしながら、ネジ止め箇所の番号を割り振り、ネジを紛失しないようテープで紙に固定して作業をした。分解時に簡単な図を書いて数字を振っておくことで、再組立時は説明書を見ながら模型をつくる程度の労力で作業が楽でミスが少なくなる。Let's note CF-Y2の分解HDDD換装に関して、下記URIの記録を参考にさせていただいた。

ほそかわ たつみ氏:不定期性写真日記
http://fromto.cc/hosokawa/diary/2004/20040303-home1/index.html



ヒンジ部はディスプレイの重みで外装を痛める可能性がある。外すなら一番最後に。


1枚構造のキーボード。剥がす際は写真のようにたわむ。


換装作業は成功し再度組み立て直し、BIOSを起動したら無事に認識した。OSを再インストールしてLet's note CF-Y2は静穏性、ドライブ高速化、耐衝撃性を得て復活。省電力についてはしばらく使用してみないと何とも言えない。XPをクリーンインストールしたらサクサク軽快に動作したので、Pentium M 1.2GHzでもまだまだ現役続投だ。起動時間は体感で分かる程に速くなった。店頭で触ったEeePCと同程度の時間ではないだろうか。




下記は個人的なメンテナンスノートとしてLet's note CF-Y2の分解時の写真をネジを外した順に掲載しておく。


Panasonic Let's note CF-Y2



裏面、バッテリーを外したところ。写真では外しているが、
後で、DVDドライブのカバーを開ける際に通電するので、まだ外さなくてよい。



裏面、左側面パーツのネジ3つを外す。各ネジで長さが違うので注意。(3/33)



裏面、右側面パーツのネジ3つ外す。ネジの順番は記録しておくこと。(6/33)




左右側面のパーツを外しているところ。



裏面、メモリスロット部のカバーのネジ1つ(7/33)



裏面、右上の3つのネジ(10/33)



裏面、メモリスロット右側のネジ1つ(11/33)



裏面、左側の4つのネジ(15/33)



裏面、中央下部2つのネジ(17/33)



表面、左側面内部、左下のネジ1つ(18/33)



表面、DVDドライブのカバーを外す。カバーを開けるには通電が必要。
カバー右上のヒンジ部は右側面パネルがないと簡単に抜けてしまう。
カバーを開ける時にスプリングで飛ばすと紛失するので注意。



表面、DVDドライブ右上。
スプリングの直ぐ右に外側からカバーを支えるL字を入れる。
1cm角で径がスプリングと同程度なので紛失に注意。
組立時には裏返したりするのでテープで仮留めが吉。
スプリング下にネジ穴が1つ。(19/33)



表面、DVDドライブ内右下のネジ1つ。(20/33)



表面、DVDドライブ内左上のネジ1つ。(21/33)



表面、DVDドライブ内左下のネジ1つ。(22/33)
DVDドライブ内のネジは合計4本ある。



表面、キーボード周囲のケースにあるツメをマイナスドライバで外しキーボードを浮かせる。
その後、右下からキーボードを剥がしていく工程となる。



ツメの位置は表面、キーボード下辺右側、DVDドライブ内に2箇所。



表面、キーボード右辺上部、1箇所。



表面、キーボード上辺、4箇所。
一番右端のツメあたりのキーボード裏には接着剤が塗られているので注意。



経年劣化で硬化している接着剤はピンセットかデザインナイフで引っ掻くと剥がれる。



表面、キーボードの左辺上部、1箇所。



表面、キーボード下辺の左側。ここのキーボード側のツメは小さい。




表面、キーボード下辺の中央、スペースキー下。
ここのツメは大きくて外れにくいが、真下にキーボードの電装系(フイルムシート)があるため、
マイナスドライバーで力をかけると危険。他の部分から剥がすと良い。



表面、慎重にキーボードやケースが折れない、割れないようにキーボードを剥がす。
右上の接着剤だけは忘れないように注意。柔らかい素材でかなりたわむ。



表面、キーボードを剥がしたところ、緑のケーブルがフイルムシート。
キーボード自体が放熱構造になっているようだ。



表面、キーボードのフイルムシート、黒いコネクタが上下に稼働しにシートを挿入して下げるとストッパーがはたらく。



表面、CPUの外側枠の右下と左上にネジが1つずつ。計2本。(24/33)



表面、キーボードコネクタの外側フレーム下部にネジが1つ。(25/33)




表面、キーボード下層のフレームの右上と左上にネジが1箇所ずつ。計2本。(27/33)




裏返すので表面、無線LANの金属カバーを外しておく。



側面、VGAの左右のネジ2つを外す。(29/33)




最後に裏面のヒンジ部の4つのネジを外す。(33/33)




ヒンジ内部の写真。ディスプレイがバランスを失って倒れると、
内部の金属パーツがプラスティックのケースを割るので注意。



ようやくネジが外れ、ケースが開く。



裏面、外装を外したところ。黒い緩衝材に包まれているのがHDD



IDEATA)のコネクタ部



問題のM/Bから41pin(Logic)に3.3V電圧で通電するコネクタ。
CF-Y2では44pin(N/A)は塞がっていなかった。



換装する新旧ドライブ。
Samsung MCAQE32G5APP-0XA (IDE-32GB)、右TOSHIBA MK4025GA (IDE-40GB)



Samsung MCAQE32G5APP-0XA (IDE-32GB)、41pin(Logic 5V)と42pin(Mortor 5V)が内部で接続している。
TOSHIBA MK4025GA (IDE-40GB)、41pin(Logic 3.3V/5.5V)と42pin(Mortor 5V)が独立している。
純正のものは両対応であるので、破損していなければ(単に換装であれば)他の器機で利用可能。



Samsung MCAQE32G5APP-0XAの41pinを折って加工。
相性不良や初期不良を考えれば、ショップ保証もあるので折らずに絶縁で対策をしたいところであるが、
セロテープでの絶縁は巻いたテープが厚ければコネクタに入らず、薄ければ通電してしまう。
高価なSDDだけに最も悩んだ場面である。



SDDをクッション材で包み、元のケースに収めて再組立に。
手順は分解の逆で問題なかった。




本当は組立後、BIOSでの認識画面の静止画やSSDクリーンインストールした直後のWindowsXPをムービーで撮影しようと思ったのだが、あいにくデジカメのバッテリー残量がゼロになったため、分解時までの説明で終わりたいと思う。Windows XP SP3を適応しLet's noteの純正ドライバをインストールした後、オフィスやセキュリティソフトを導入した実用環境におけるSSDの動作を撮影した動画はいずれ公開できるかもしれない。